本書では,薬局や病院の薬剤師や研究者が直面するさまざまなジレンマを取り扱っている。一読すれば,そうした多種多様な問題解決に向けて倫理的判断を下していくためには,医療関係の知識だけでなく,人間的,社会的,文化的にも深い理解が求められることに読者は気づかれるであろう。そのためには人間としての幅広さや深さ,つまり教養が必要であり,人文社会系の学問がいかに重要であるかもわかるであろう。さらには,自分で考えることの大事さ,楽しさに気づかれる方もいるだろう。そうした点に面白さや,さらには薬剤師としてのやりがいを感じてもらえれるであろう。