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計算流体力学―GSMAC有限要素法― 

書籍情報
ISBN978-4-320-07163-6
判型A5 
ページ数340ページ
発行年月2006年08月
本体価格4,700円
計算流体力学 書影
計算流体力学

有限要素法による流れの解析は今日ではかなり普及した。しかしながら,高レイノルズ数の流れ,高レイリー数の熱対流,高磁気レイノルズ数の電磁流体などでは,まだまだ流れの安定化に対する工夫が必要である。シミュレーションのコード開発において重要なことは,コードが,単純性(simple),頑強性(robust),効率性(efficient)の条件を満足することである。この条件を満足する非圧縮性流体解析スキームは,アメリカのロスアラモスで開発されたHSMACスキームである。しかしながら,このスキームは差分法であるため,複雑形状物体まわりの流れに対して必ずしも形状適合性に優れていない。

本書では,複雑形状と汎用性に優れたGSMAC有限要素法について詳しく解説する。GSMAC法は,差分法のSOLAコードのアルゴリズムを改良し有限要素法化したもので,generalized-simplified marker and cell法の省略形である。GSMAC法には次のような特長がある。

特長1:圧力と速度の同時緩和法により,圧力のポアソン方程式を解くことなく局所化された反復法により圧力場が求まる。よって,連立一次方程式の解法を必要としない。
特長2:サイクル誤差自己調整法の機能により,ソレノイダル性の条件をゆるめても高精度な解が得られる。
特長3:セル平均と節点平均の組合せにより,行列方程式を解くことなく求解できる。これは双対格子の概念の応用である。
特長4:係数行列を離散ナブラ演算子で解析的に表示している。その結果,数値積分をする必要がなく行列要素を非記憶化できる。よって,高速演算が可能である。
特長5:質量集中化による誤差をデータの再構築法を用いて除去している。

現在,汎用的(universal),高精度(accurate),経済的(economical)な高速計算技術の確立が望まれている。そして,単純性,頑強性,効率性の3つの条件を平均的に満足する数値解析手法が,ここで述べるGSMAC有限要素法である。さらに,SIMPLE(semi-implicit method for pressure-linked equation)法の有限要素法化であるhybrid GSMAC法,CIP(cubic interpolated pseudo-particle)法の有限要素法化であるGSMAC-CIP法などについても,基礎理論から応用にいたるまでその詳細を記した。したがって,本書はこれらの内容について詳しく書かれた入門書であると同時に専門的解説書でもある。本書にまとめられた知識や経験は,産業界の強い要求の結果であるのみならず,最先端で活躍されている若い第一線の研究者に参考となることを期待している。

本書の内容は以下の4章よりなる。すなわち,第1章/流れの有限要素法と上流化,第2章/非圧縮性流体の基礎,第3章/GSMAC有限要素法,第4章/GSMAC-CIP法である.第1章では,有限要素法でどのように上流化が達成できるかを調べる。第2章では,非圧縮性流体の運動方程式の特性を理論的に調べる。非圧縮性流体では質量保存則により速度の発散が0となる。このような場をソレノイダル場とよぶ。ソレノイダル場に存在する速度場の直交分解が数値解析のアルゴリズムを構築する基礎となる。第3章は,上流化と直交分解と汎用化の概念を基礎として発展したGSMAC有限要素法を詳述する。第4章は,粒子法として発展したCIP法の有限要素法化である。この手法は関数とその微係数を用いて補間関数を高精化することに特長がある。

目次

第1章 流れの有限要素法と上流化
1.1 重みつき残差法と有限要素法
  1.1.1 重みつき残差法
  1.1.2 重みつき残差法と弱形式
  1.1.3 有限要素法による定式化
1.2 形状関数と写像関数
  1.2.1 1次元の形状関数
  1.2.2 2次元の形状関数
  1.2.3 3次元の形状関数
1.3 上流化法
  1.3.1 粒子法
  1.3.2 バブノフ-ガレルキン法
  1.3.3 ペトロフ-ガレルキン法
  1.3.4 BTD法
  1.3.5 SUPG法
1.4 双対空間有限要素法
  1.4.1 差分法・有限体積法・有限要素法の比較
  1.4.2 厳密解と数値流束
  1.4.3 特殊関数の近似式
  1.4.4 多次元への拡張
1.5 安定化有限要素法
  1.5.1 有限要素法による定式化
  1.5.2 多重スケール法と安定化有限要素法
  1.5.3 まとめ

第2章 非圧縮性流体の基礎
2.1 非圧縮性流体の基礎方程式
  2.1.1 計算流体力学の概要
  2.1.2 非圧縮性流体の基礎方程式
2.2 計算流体力学の基礎
  2.2.1 中点ルール
  2.2.2 移流方程式
  2.2.3 衝撃波の捕獲
  2.2.4 2段階ラックス-ヴェンドロフ法
2.3 速度場の直交分解
  2.3.1 ヘルムホルツの表示定理
  2.3.2 ヘルムホルツ-ホッジの直交分解定理
  2.3.3 ナヴィエ-ストークス方程式の直交分解
  2.3.4 ナヴィエ-ストークス方程式のヘルムホルツ分解
2.4 アルゴリズムの基礎
  2.4.1 基礎方程式の変形と定式化
  2.4.2 数値解析法のポイント
  2.4.3 離散化とアルゴリズムの概要

第3章 GSMAC有限要素法
3.1 GSMAC有限要素法
  3.1.1 要素と節点
  3.1.2 GSMAC有限要素法
3.2 同時緩和法によるポアソン方程式の解法
  3.2.1 ソレノイダル・ベクトル場とポアソン方程式
  3.2.2 ニュートン-ラフソン法
  3.2.3 優対角近似
  3.2.4 同時緩和法
3.3 離散ナブラ演算子と非記憶型係数行列
  3.3.1 離散ナブラ演算子の定義式と計算法
  3.3.2 勾配・発散・回転の離散ナブラ演算子表示
  3.3.3 係数行列の解析的表示と非記憶化
  3.3.4 反変基底ベクトルのオブジェクト化
3.4 要素グリーン関数法による移流拡散行列の安定化
  3.4.1 要素グリーン関数
  3.4.2 ベルヌーイ関数の近似式
  3.4.3 安定化移流拡散行列
  3.4.4 高精度化と高速化
3.5 質量集中化とデータの再構築
  3.5.1 平均操作
  3.5.2 質量集中化とデータの再構築
  3.5.3 原理式と時間進行法
  3.5.4 双対格子
  3.5.5 有限体積法
  3.5.6 データの再構築

第4章 GSMAC-CIP法
4.1 準ラグランジュ法
  4.1.1 移流方程式の厳密解
  4.1.2 準ラグランジュ法
  4.1.3 補間法
4.2 ニュートン-ラフソン法
  4.2.1 ニュートン法
  4.2.2 ニュートン-ラフソン法
  4.2.3 修正ニュートン-ラフソン法
4.3 関数と微係数が連続な補間関数
  4.3.1 曲線要素と3次補間関数
  4.3.2 2次元の場合の補間
  4.3.3 3次元の場合の補間
4.4 単体要素と3次補間関数
  4.4.1 線分座標
  4.4.2 面積座標
  4.4.3 体積座標
4.5 対称要素に対する3次補間の形状関数
  4.5.1 1次元の3次補間形状関数
  4.5.2 多次元の3次補間形状関数
  4.5.3 CIP法の離散化精度
  4.5.4 まとめ
4.6 GSMAC-CIP有限要素法
  4.6.1 3次補間関数の形状関数
  4.6.2 キャビティ内自然対流解析
  4.6.3 正方形キャビティ内の流れ
  4.6.4 円柱まわりの流れ
  4.6.5 3角形キャビティ内の流れ
  4.6.6 おわりに