今日では環境教育の必要性を誰も疑う人はなく,環境や環境問題に関する情報はマスメディアやネット上でも溢れている。このような状況の中,子ども達にとっては,環境問題は折に触れて取り上げられるために,その知識は断片的となる。一方,学校の教師にとっては,基礎学力養成や生活指導に加えてさらなる負担となる。このような状況の下で,本書は小学校,中学校,高校教師が子ども達に環境教育を教えてゆくときの便とするために編まれた。
環境教育のゴールは"子ども達が環境問題に関心を持ち,それを理解し,環境のための行動をとれるようになること"にある。この目標達成のために,本書はなぜ環境教育は必要か,どのような環境教育が求められるか,その教育はどのように進められるべきか,そしてツールを含む具体的な方法までを示した。またこの中で,環境・環境問題・環境教育の関係がわかること,環境問題全般に目配りして素材が体系的に示されていること,生活や地域に結びついた専門的にみても的確で分かりやすい独自の資料を取り込むこと,環境教育の具体的な進め方が分かることなどを心掛けた。筆者には教育学のほか,生物学・地学・化学・工学の分野から環境と環境問題に関わる教育研究を行って来た研究者と現場の教師があたった。これから教壇に立つ学生にはもちろん,すでに教育現場におられる教師の方々にも役立つものになるであろう。