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心を知るための人工知能―認知科学としての記号創発ロボティクス― 

書籍情報
シリーズ名越境する認知科学 全13巻 【5】巻
ISBN978-4-320-09465-9
判型四六 
ページ数290ページ
発行年月2020年06月
本体価格3,400円
心を知るための人工知能 書影
心を知るための人工知能

子どもが概念を形成し,言葉を覚えていくように
ロボットが自ら学習し発達することができるのだろうか。
人工知能が人間の認知システムにおける学習と発達のダイナミクスをひも解く。


 認知発達し言語を獲得するロボットを作ることで人間の知能を理解しようとする学問である記号創発ロボティクス。それは人間の認知システムに対する構成論的アプローチである。本書はその記号創発ロボティクスの認知科学としての側面に焦点を当てた初めての本格的な入門書である。
 人間の認知とは固定的で静的な存在ではなく,環境との相互作用を通して変化する動的な存在である。では,人間の認知の動態を理解するためには,言語による記述的な認知の表現や,ある時期の人間の行動に焦点を当てた心理実験だけでは不十分ではないだろうか。真に「環境との相互作用を通して変化する動的な存在」を表現するためには,環境との相互作用を行う身体と,その情報をシステム内部で処理し,適応的に変化していくための知能が必要である。そのような議論は,必然的にロボットを人間の認知を理解するためのモデルとして活用しようという研究に導く。
 2010年代のディープラーニングに基づく人工知能の発展や,確率的生成モデルに基づく機械学習の発展を背景にしながら,認知科学を発展させていくモデル研究の新しく魅力的な旅路を紹介する。
 「心を知る」ことを望む,あらゆる学び手に届ける,新しい認知科学に向けた必読書。

目次

まえがき

第1章 実世界認知のモデル
1.1 記号創発ロボティクス
1.2 認知科学とロボティクス
1.3 科学におけるモデル
1.4 「シミュレーションの科学」におけるモデル論
1.5 ロボットの定義と身体性
1.6 「認知的な閉じ」と機能の構成
1.7 言語,図式,シミュレーション,ロボット

第2章 人工知能と記号の旅路
2.1 人間にとっての記号
  2.1.1 記号の三項関係
  2.1.2 記号の恣意性とカテゴリ化
  2.1.3 符号とでも呼ぶべき「記号」と記号
2.2 計算機と記号論理学にとっての「記号」
  2.2.1 物理記号システムにおける記号
  2.2.2 「記号」接地問題
  2.2.3 連続的な認知の表現と記号主義からの別離
2.3 知覚的記号システム
2.4 創発的記号システム
  2.4.1 記号接地問題から記号創発問題へ
  2.4.2 記号創発システムと創発的記号システム
  2.4.3 記号創発問題

第3章 カテゴリ形成と確率的生成モデル
3.1 カテゴリや概念の学習と教師なし学習
  3.1.1 カテゴリと概念
  3.1.2 教師あり学習と教師なし学習
  3.1.3 「認知的な閉じ」のモデル化
3.2 確率的生成モデルの基礎
  3.2.1 ベイズアプローチと確率的生成モデル
  3.2.2 内的表象と潜在変数
  3.2.3 正規分布の確率的生成モデル
3.3 混合正規分布によるカテゴリ形成
  3.3.1 混合正規分布の生成過程
  3.3.2 カテゴリ形成の確率的生成モデル
  3.3.3 多様な要素分布とカテゴリ形成モデル
  3.3.4 クラスタリングから,より複雑な概念形成へ

第4章 概念とカテゴリを形成するロボット
4.1 マルチモーダル物体概念の形成
  4.1.1 マルチモーダル物体概念形成過程の表現に向けて
  4.1.2 ロボットによるマルチモーダル物体カテゴリ形成
  4.1.3 MLDA:物体概念形成モデル
  4.1.4 物体カテゴリ形成におけるカテゴリ数の同時推論
  4.1.5 物体概念に対応する語彙の学習
  4.1.6 クロスモーダル推論
  4.1.7 モダリティ重みによる多様なカテゴリ形成
  4.1.8 階層性を持つマルチモーダル物体概念形成
  4.1.9 マルチモーダル物体概念に基づく能動知覚
4.2 位置と画像と単語による場所概念の形成
  4.2.1 実環境タスクと空間理解
  4.2.2 マルチモーダルな場所の概念
  4.2.3 SpCoSLAM:場所概念形成モデル
  4.2.4 階層的場所概念の形成
  4.2.5 クロスモーダル推論による自己位置推定と場所の名前の想起

第5章 語彙を獲得するロボット
5.1 マルチモーダル情報を用いた語彙獲得
  5.1.1 連続音声からの単語発見
  5.1.2 二重分節構造
  5.1.3 ベイズ教師なし単語分割
  5.1.4 実音声からの語彙獲得における音素認識誤り問題
  5.1.5 共起情報を用いた語彙獲得
  5.1.6 NPYLM-MLDA:単語と物体概念の同時獲得モデル
  5.1.7 SpCoA++:単語と場所概念の同時獲得モデル
5.2 ノンパラメトリックベイズ二重分節解析
  5.2.1 教師なし学習による音素と単語の同時推論
  5.2.2 HDP-HLM:音声言語の二重分節構造モデル
  5.2.3 二重分節解析:音声データのみからの音素と単語の推論
  5.2.4 二重分節解析の構成論が示したもの

第6章 内的表象を生み出すディープラーニング
6.1 ニューラルネットワークと人工知能
  6.1.1 ディープラーニングの潮流
  6.1.2 人工知能とコネクショニズム
  6.1.3 ニューラルネットワークとパターン認識
  6.1.4 ディープラーニングの数理的実体
  6.1.5 CNNと特徴抽出フィルタ
  6.1.6 ニューラルネットワークの内的表象
6.2 分散表現と内的表象
  6.2.1 word2vec:単語の意味のベクトル表現
  6.2.2 分散表現と局所表現
  6.2.3 エンコーダ・デコーダモデル
  6.2.4 マルチモーダル・ディープラーニング
  6.2.5 内的表象のモデル
6.3 確率的生成モデルとニューラルネットワークの架け橋
  6.3.1 自己符号化変分ベイズ
  6.3.2 変分ベイズ推論
  6.3.3 推論モデル
  6.3.4 オートエンコーダと変分オートエンコーダ
  6.3.5 確率的生成モデルとニューラルネットワーク
  6.3.6 連続的な内的表象に向けて

第7章 記号創発ロボティクスと認知理解の発展
7.1 統合的な認知システムの構成論に向けて
  7.1.1 知覚的記号システムとマルチモーダル確率的生成モデル
  7.1.2 マルチモーダル概念形成の基本モデル
  7.1.3 数理モデルによる記述の拡張
7.2 概念やカテゴリや内的表象のモデル表現
  7.2.1 カテゴリ
  7.2.2 概念
  7.2.3 記号
  7.2.4 内的表象および特徴表現
  7.2.5 単語と「記号」
  7.2.6 離散変数またはトークン
7.3 高次認知機能への道
  7.3.1 行動と言語の文法
  7.3.2 概念結合(全体と部分の意味)
  7.3.3 観測に基づく論理推論
  7.3.4 統語的な意味と知覚的な意味の統合

終 章 越境する記号創発ロボティクス

参考文献
あとがき
索  引