本書は文系学部出身者には実用的で有効な統計解析と人工知能手法,理工系学部出身者には解析データ収集と解析結果の解釈・活用に必要な企業経営と信用評価の基本経営知識を提供することにより,経営の発想と統計解析・人工知能ツールを結びつけることを狙いとする。従来の経営分析を体系的に整理したうえ,数多くの統計解析と人工知能手法の中から,実用性の高いものを選んで,経営分析へのこれらの手法の活用について,経営分野の実例を用いてわかりやすく解説する。また,信用リスク評価に関しては,一般企業において実用できる信用格付けモデルに重点を置き,信用リスク評価の手法を体系的に解説する。さらに,金融機関および一般企業における利用可能性を考慮し,財務データに基づいた財務的アプローチだけでなく,企業の日常取引データなどに基づいた非財務的アプローチも説明する。
実用性を重視するし,本書で説明する各種手法はすべてRプログラムを提供する。そして,これらのプログラムと実行結果を容易に理解してもらうために,すべての行に注釈をつける。実行結果を踏まえて,Rの関数を利用する際の注意点とエラー回避のコツを解説する。