カプラン・マイヤー法―生存時間解析の基本手法― 

書籍情報
シリーズ名統計学One Point 【12】巻
ISBN978-4-320-11262-9
判型A5 
ページ数196ページ
発売日2019年04月30日
本体価格2,300円
カプラン・マイヤー法 書影
カプラン・マイヤー法

新刊

 イベント発現までの時間を観察してそれらのデータ解析をすることは生存時間解析と呼ばれている。生存時間解析の基本的な手法であるカプラン・マイヤー法(KM法)は,シンプルな計算によってイベントの経時的な発現/非発現状況の分布を要約し,生存関数を推定する方法として広く用いられ,汎用の解析ソフトも豊富である。本書では,統計の基礎知識があまりなくても理解できるように数値例を用いて,KM法の詳細や解析ソフトが出力する生存率の信頼区間,生存関数の信頼帯,生存時間中央値やパーセント点およびそれらの信頼区間の読み解き方について説明し,さまざまな文献での適用例を紹介している。
 これまでの書籍では,一見は異なるように見える数通りの数式表現によってKM法が解説されているが,これらの表現の違いについても丁寧に説明する。また,生存時間解析においてよく用いられる分布とその特徴,シミュレーション実験方法をわかりやすく解説している。

 さらに,KM法はノンパラメントリック法であるが, 仮定や条件は何もいらないというわけではない。KM法の仮定とそれに基づく全く別のKM法の表現,右側再分配の特性について数値例を用いて解説している。応用では,KM法の仮定が成り立たないような競合リスクが存在する場合,KM法の誤用事例が散見される。KM法の適切な利用法とイベント発現率の推定方法を,数値例を用いながら解説する。
 また,観測データに区間打切りデータが存在する場合にもKM法は頻用されている。その際,右側中途打切りデータがある場合の問題点とその原因を数値例により説明する。シミュレーション実験によりターンブル法と比較した結果も示している。発展的内容として,生存時間解析においてよく用いられる分布とその特徴,競合リスクが存在する場合のKM法の適切な利用法とイベント発現率の推定方法も扱っている。観測データに区間打切りデータが存在する場合のKM法の問題点とその原因を数値例により説明する。シミュレーション実験によりターンブル法と比較した結果も示している。
 上記の内容は,日本語の書籍にはほとんど書かれていないため,統計の知識がある研究者や実務家にも問題点や対処法はあまり知られていない。本書では,これらについても統計の基礎知識程度があればわかるように説明している。

目次

第1章 生存時間解析と生存関数の推定
1.1 生存時間解析の基礎事項
  1.1.1 打切り
  1.1.2 生存関数
  1.1.3 ハザード
1.2 カプラン・マイヤー法を用いた推定
  1.2.1 数値例を用いた生存関数推定
  1.2.2 カプラン・マイヤー法の一般的な表現
  1.2.3 最長の観測データが観察打切りまでの時間である場合
  1.2.4 生存関数の信頼区間と信頼帯
  1.2.5 生存時間中央値およびパーセント点の推定
  1.2.6 生存時間中央値およびパーセント点の信頼区間
1.3 生存関数推定の例題
  1.3.1 右側打切りデータがない場合
  1.3.2 右側打切りデータが多い場合
1.4 カプラン・マイヤー法の右側再分配の特性
  1.4.1 右側再分配の数値例
  1.4.2 生存時間と生存率のパラドクス
1.5 カプラン・マイヤー法の適用例
  1.5.1 転移性メラノーマ患者の無増悪生存率および生存率
  1.5.2 乳癌患者の生存率および無病生存率
  1.5.3 小児慢性腎疾患者の腎生存率

第2章 生存時間解析に用いられる代表的な分布
2.1 指数分布
  2.1.1 シミュレーションでの留意点
2.2 ワイブル分布

第3章 区間打切りデータが含まれるときの生存関数の推定
3.1 区間打切りデータ
3.2 区間打切りデータのタイプ
3.3 1点代入後にカプラン・マイヤー法を用いる方法
  3.3.1 1点代入法のパラドクス
3.4 区間打切りデータとして扱う推定方法
3.5 シミュレーションによる推定方法の比較
3.6 無増悪生存率の推定事例

第4章 競合リスクが存在するときの累積発現率の推定
4.1 競合リスク
4.2 競合リスクの数値例
  4.2.1 臨床試験における有害事象
  4.2.2 カプラン・マイヤー法による意外な結果
4.3 イベント発現までの時間の分布の要約
4.4 累積発生関数の推定
  4.4.1 数値例を用いた推定
  4.4.2 一般的な推定方法
4.5 有害事象の重症度を加味した累積発現率
  4.5.1 重症度別累積発生関数
4.6 カプラン・マイヤー法を用いる問題点
4.7 カプラン・マイヤー法の別の表現
4.8 準競合リスクにおける推測とカプラン・マイヤー法
4.9 累積発生関数とカプラン・マイヤー法の適用例
  4.9.1 軽快退院と死亡退院
  4.9.2 高齢乳癌患者の乳癌死亡率と乳癌関連のイベント発現率

付録A
A.1 方法BにおけるS(t) の表現(1.2.2項)
A.2 方法Cにおける式(1.11)の導出(1.2.2項)
A.3 方法DにおけるS(t) の表現(1.2.2項)
A.4 信頼係数100(1-α)%の信頼帯(1.2.4項)
  A.4.1 等精度信頼帯
  A.4.2 ハル・ウェルナー信頼帯
A.5 SASによるプログラミング例(1.2.4項)

参考文献
索  引