動く曲線の数値計算

書籍情報
ISBN978-4-320-11380-0
判型A5 
ページ数344ページ
発売日2019年07月12日
本体価格4,500円
動く曲線の数値計算 書影
動く曲線の数値計算

新刊

素朴な疑問「動く曲線を数値計算するにはどうすればよいのか」に回答できる数少ない和書である。動く曲線,すなわち時間とともに変形し,移動する平面曲線は,例えば,流体現象,燃焼現象,結晶成長や転位などのさまざまな現象に現れる。あるいは画像輪郭抽出などの画像処理においても用いられる。大がかりな道具を必要とせずに,簡単に,素早く,しかも安定に数値計算することは,上記のさまざまな分野に関わる研究者や学生,開発者などにとっては必要である。しかし,従来の標準的な数値計算の本には,グラフで表現できないような動く曲線の数値計算法の説明はない。確固たる手法が確立していなかったのがその理由の一つであろう。近年,動く曲線の数値計算法は十分に研究,開発されてきた。筆者もその方法の確立に寄与した一人である。動く曲線を数値計算する必要がある人にとっては待望の書となっているはずだ。

目次

第0章 コンピュータ上の「数」
0.1 コンピュータの得手不得手
0.2 浮動小数点数
0.3 2進法
0.4 IEEE754規格
0.5 浮動小数点数の計算
0.6 山中マジック
0.7 結局,いいたいこと


第I部 数値計算の基本

第1章 常微分方程式の数値解法
1.1 離散変数法
1.2 オイラー法の収束
1.3 オイラー法の改良
1.4 打ち切り誤差と丸め誤差
1.5 EOC
1.6 カオス登場
1.7 単振り子の運動方程式
1.8 「気の利いた」オイラー法
1.9 シンプレクティック・オイラー法
1.10 エネルギーが保存するような離散化
1.11 オイラーによるオイラー法

第2章 数値積分
2.1 区分求積法と数値積分
2.2 左端点則と右端点則
2.3 中点則と台形則
2.4 シンプソン則
2.5 「気の利いた」変形

第3章 非線形方程式の数値解法
3.1 ニュートン法
3.2 縮小写像の原理
3.3 ニュートン法の収束
3.4 ニュートンによるニュートン法
3.5 2分法
3.6 2分法の収束,および収束性の一般論


第II部 偏微分方程式の差分解法

第4章 1階線形偏微分方程式の差分解法
4.1 移流方程式
4.2 偏微分方程式の差分解法
4.3 移流方程式の全離散化
4.4 前進差分スキーム(4.9)の不安定性
4.5 風上差分スキーム(4.10)の安定性,適合性,収束性
4.6 中心差分スキーム(4.11)とフォン・ノイマンの安定性

第5章 2階線形偏微分方程式の差分解法
5.1 熱方程式の導出
5.2 差分の記号
5.3 熱方程式の初期値境界値問題(5.3)の離散化
5.4 エネルギー不等式と「気の利いた」半陰的離散化
5.5 保存量をもつ勾配流方程式
5.6 半離散版の面積保存曲線短縮方程式
5.7 拡散の遷移確率とCFL条件(4.14),安定条件(5.14)


第III部 動く曲線の数値計算

第6章 動く曲線の問題
6.1 時間変化する平面曲線とその表現
6.2 さまざまな量の時間発展方程式
6.3 さまざまな法線速度
6.4 動く開曲線の問題
6.5 開曲線版古典的面積保存曲率流方程式とディドの問題

第7章 動く折れ線上の「曲率」と「法線」
7.1 時間変化する平面折れ線とその表現
7.2 頂点や辺上の「曲率」と頂点における「法線」方向の変遷
7.3 「曲率」κi, Ki, $\hat{\kappa}_i$は曲率の近似か

第8章 動く折れ線の問題
8.1 準備
8.2 さまざまな法線速度{vi}
8.3 接線速度{Wi}の決定:漸近的一様配置法と曲率調整型配置
8.4 アルゴリズム(線の方法)
8.5 数値スキームの実例:蔵本‐シバシンスキー方程式

第9章 間接法やグラフによる表現
9.1 レベルセットの方法:等高線による動く曲線の表現
9.2 グラフによる動く曲線の表現
9.3 蔵本‐シバシンスキー方程式のスケール変換
9.4 特異極限法:アレン‐カーン方程式による動く曲線の表現

第10章 基本解近似解法(MFS)
10.1 MFSとは
10.2 MFSのアイディア
10.3 不変スキーム
10.4 MFSの数値計算例:ヘレ・ショウ問題
10.5 隙間 b が時間に依存するb = b(t)の場合の数値計算例

参考文献
索引