1足す1から現代数論へ―モジュラー形式への誘い― 

書籍情報
ISBN978-4-320-11383-1
判型A5 
ページ数268ページ
発売日2019年07月31日
本体価格2,900円
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1足す1から現代数論へ

新刊

 足し算は言うまでもなく,日常生活において数を扱う基礎である。また,数を扱う数論は,現代において幅広く,豊かな広がりをみせている。
 本書は,足し算という素朴な概念から,現代数論までをカバーする解説書である。
 まず,有限な範囲での和や「平方の和の問題」の話から始める。この「平方の和の問題」とは,どんな数が二つの平方数の和として表されるか,というものであり,この問題は17世紀にフェルマーが提起し,公開した。彼は数学者メルセンヌへの手紙の中で,証明なしにその問題を解答したことを公表した。この2乗数の和を皮切りに,3乗数の和,4乗数の和,そしてさらに高次のベキ乗和の話へと続いていく。次に有限から無限へと範囲を拡大して,無限級数を用い,ゼータ関数,ベルヌーイ数,母関数などが重要な関数が登場する。最後に,フェルマーの最終定理の証明においても使われるなど,現代数論において欠かせないモジュラー形式の概念を解説し,有限和と無限和の話を結び付ける内容となっている。数学愛好家のような一般向けに,飽きさせない話題を展開しているユニークな書。

目次

序 論 この本はどんな本か
1. 足すこと
2. 興味のある和


第I部 有限和

第1章 導 入
1. 最大公約数
2. 合同式
3. ウィルソンの定理
4. 平方剰余と非剰余
5. ルジャンドル記号

第2章 二つの平方数の和
1. 解答
2. 証拠はプディングの中にはない
3. 定理2.1と定理2.3の十分条件である部分の証明
4. 証明の詳細

第3章 3個と4個の平方数の和
1. 3個の平方数
2. 幕間
3. 4個の平方数
4. 4より大きい個数の平方数の和

第4章 高次のベキの和:ウェアリングの問題
1. g(k)とG(k)
2. 4乗ベキの和
3. 高次のベキ乗

第5章 単純な和
1. 最初の段階にもどる
2. 低いベキ乗の和

第6章 ベキ乗の和,代数を用いて
1. 歴史
2. 平方
3. 嬉遊曲:二重和
4. 入れ子式の和
5. 帰ってきた入れ子
6. 余談:オイラー・マクローリンの和


第II部 無限和

第7章 無限級数
1. 有限幾何級数
2. 無限幾何級数
3. 二項級数
4. 複素数と関数
5. 無限幾何級数,再び
6. 無限和の例
7. 指数関数exez
8. ベキ級数
9. 解析接続

第8章 記号の特色
1. 上半平面H
2. 再び指数関数ez
3. q, 穴あき単位円板Δ*, と単位円板Δ0

第9章 ゼータ関数とベルヌーイ数
1. 神秘的な公式
2. 無限積
3. 対数微分法
4. さらに続く二つの小道

第10章 方法を数える
1. 母関数
2. 母関数の例
3. 母関数の最後の例


第III部 モジュラー形式とその応用

第11章 上半平面
1. 復習
2. 帯
3. 幾何学とは何か?
4. 非ユークリッド幾何学
5. 群
6. 行列群
7. 双曲的非ユークリッド平面の運動群

第12章 モジュラー形式
1. 術語
2. SL2(Z)
3. 基本領域
4. ついにモジュラー形式
5. 変換特性
6. 増大条件
7. 要約

第13章 モジュラー形式はどのぐらいたくさんあるのか?
1. 無限集合の数え方
2. MkSkはどのぐらい大きいのか?
3. q展開
4. モジュラー形式を掛ける
5. MkSkの次元

第14章 合同群
1. ほかの重み
2. 整数の重みと高次のレベルをもつモジュラー形式
3. 基本領域とカスプ
4. 半整数の重みをもつモジュラー形式

第15章 分割と平方数の和,再訪
1. 分割
2. 平方数の和
3. 数値的な例と哲学的考察

第16章 続・モジュラー形式
1. ヘッケ作用素
2. 新しい衣服,古い衣服
3. エル関数L

第17章 まだほかにあるモジュラー形式の応用
1. ガロア表現
2. 楕円曲線
3. ムーンシャイン
4. より大きな群(佐藤-テイト)
5. 後記

参考文献

記号表,参考文献,訳者あとがき
1. 記号表
2. 参考文献
3. 訳者あとがき

索 引