量子解析のための作用素環入門

書籍情報
シリーズ名数学と物理の交差点 全9巻 【5】巻
ISBN978-4-320-11405-0
判型A5 
ページ数312ページ
発売予定2019年08月30日
本体価格4,000円
量子解析のための作用素環入門 書影
量子解析のための作用素環入門

新刊

20世紀初頭,フォン・ノイマンにより,作用素解析の観点から量子力学の数学的構造を記述した画期的な書籍が出版された。
ノイマンはその後,無限自由度系(場の量子論など)の考察のために作用素の代数構造の解析に尽力し,「ノイマン環」の理論を作りあげる。それは後に,シーゲルやハーグ等の手により物理学に於ける代数的量子場理論のかたちに発展し現在にいたる。
一方,作用素環の理論は,その後非可換幾何学の視点も取り入れられ,数学に於いて滞りのない発展がみられている。
ノイマンの理論は斯様に双方とも大きな学術体系として発展を遂げているが,元々の出発点であった「作用素環と無限自由度系とのかかわり」への関心が,現在希薄なものになりつつあるようにみえる。

本書では,そういった作用素環と量子力学との関係について詳しい解説をおこなった。特に,今後両者の研究が交錯していく未来を見据え,作用素環の表現論,正準交換関係・反交換関係に付随した環と表現について重点的に解説した。

目次

第1章 *環と*表現
1.1 *環
1.2 *表現
1.3 正線型汎関数

第2章 ゲルファント理論
2.1 バナッハ環とC*環
2.2 スペクトル
2.3 可換環のスペクトル
2.4 局所コンパクト可換群

第3章 C*環における正値性
3.1 正元
3.2 正汎関数

第4章 表現とフォン・ノイマン環
4.1 作用素位相
4.2 射影と近似定理

第5章 フォン・ノイマン環の位相
5.1 連続汎関数とW*環
5.2 W*包
5.3 I型フォン・ノイマン環

第6章 冨田・竹崎理論

第7章 フォン・ノイマン環の標準形
7.1 標準表現
7.2 正錐
7.3 標準形の特徴づけ
7.4 普遍表現
7.5 角谷の二分律

第8章 群作用とKMS状態
8.1 自己同型作用
8.2 KMS条件

第9章 直積分と直分解
9.1 可換環の膨らまし
9.2 可測族
9.3 フォン・ノイマン環の可測族
9.4 表現の直積分と直分解

第10章 正準量子環
10.1 正準交換関係
10.2 フォック空間
10.3 CAR環とCCR環
10.4 共分散形式と自由状態
10.5 中心極限定理

第11章 クリフォード環
11.1 対称形式と反交換関係
11.2 正方表現と自由状態

第12章 ワイル環
12.1 交代形式とワイルの交換関係
12.2 ワイル環と自由状態
12.3 たたみ込みワイル環
12.4 自由状態とKMS条件
12.5 状態の正方化

第13章 可換子定理
13.1 CARの場合
13.2 CCRの場合
13.3 可換部分空間

付録A 関数解析の諸結果から
A.1 Hahn-Banach
A.2 コンパクト凸集合
A.3 有界性定理241

付録B バナッハ空間における極関係

付録C 非有界作用素
C.1 閉作用素
C.2 自己共役作用素
C.3 極分解

付録D 角作用素

付録E 解析的ベクトル
E.1 ベクトル値積分
E.2 ベクトル値関数と解析的元
E.3 解析的ベクトル
E.4 両解析関数

付録F 群のユニタリー表現

付録G テンソル積とテンソル代数
G.1 テンソル積
G.2 テンソル代数

おわりに

参考書

索引