ローゼンバウム 統計的因果推論入門―観察研究とランダム化実験― 

書籍情報
ISBN978-4-320-11447-0
判型A5 
ページ数416ページ
発売日2021年05月18日
価格5,280円(税込)
ローゼンバウム 統計的因果推論入門 書影
ローゼンバウム 統計的因果推論入門

新刊

「傾向スコア」の提案者Paul R. Rosenbaumによる統計的因果推論の入門書。
数式による説明は最低限に,多くの例とやさしい文章で丁寧に解説!


ローゼンバウムによる本書は,そのテーマである統計的因果推論について丁寧に,かつ正確に説明されたものとなっている。それはまさに期待通りのものであり,著者の卓越した知識に基づく熟練の技というべきであろう。  ――スティーブン・スティグラー(統計学者,『統計学の7原則』著者)

観察研究と実験から因果関係を推論するための考察と戦略の宝庫。この本は読むのが楽しく、因果推論について学ぶあらゆるレベルの読者にとって興味深い内容が詰め込まれている。  ――ディラン・S・スモール(ペンシルベニア大学ウォートン校教授)

本書のこの分野に対する貢献はきわめて大きい。。。 一読を強く薦める。  ――キャロル・ジョイス・ブルムバーグ(アメリカ統計学会フェロー)

因果推論を行う上での有用な諸側面について,因果推論の世界的に著名な専門家によって,その深い洞察力をもとに書かれた貴重な書物である。  ――ジェームソン・A・クイン,ルーク・W・ミラトリクス(Journal of the American Statistical Association誌より)

本書の成功のカギは,著者の語り口である。ローゼンバウムは本書を通じ一貫して明確かつ直接的であり,ときには読者に直接語りかけているかのように説明を加えている。25にも上る優れた実例が,理論的な議論を生き生きとしたものにしている。  ――ウィリアム・J・サッツァー(MAA Reviewsより)


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本書は,Donald Rubinとともに「傾向スコア」を導入したことで知られ,特に観察研究における因果推論を中心として数多くの論文を世に送り続けているこの分野での世界的リーダーの一人であるPaul R. Rosenbaumが統計的因果推論の基礎から発展的な話題まで数式をほとんど用いずに、平易な文章で解説した入門書である。難解な数学あるいは統計学の説明は最小限にとどめ,因果推論における様々なトピックについて例題をまじえ平易に,しかし厳密さは犠牲にせずに工夫しながら説明している。
本書における多種多様な例を読むことで,因果推論とはどのようなものかが理解できるであろう。大学初年級から大学院生,そして因果推論に興味を持つ社会人の方々に広く薦めることができる。
統計的因果推論では,ランダム化実験と観察研究との違いを明確に理解することがもっとも重要である。また,観察研究で避けて通れないバイアスに関する正確な知識が必要となるが,本書ではバイアスの除去や低減法、そしてその大きさの定量的な評価法など様々なトピックスを扱っている。

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日々のニュースはもとより,科学的な文献であっても,何らかの処置や行動あるいは政策がもたらす影響について,矛盾しているように思われる主張に直面することが往々にしてある。ワインを毎日グラス1杯飲むことで寿命が延びると言われたり,その一方で,アルコールは重篤な病気を誘発する可能性があり,特に妊娠中の女性は飲酒を控えるべきであると言われたりもする。また,最低賃金の引き上げにより経済格差を埋められると主張する人もいれば,かえって失業者を増やすことになるとの主張もなされる。さて,このような問題に対して,我々はどのように対処すればよいのだろうか。

本書は,この分野を代表する学者の一人であるPaul R. Rosenbaumによる統計的因果推論の入門書である。難解な数学や統計学による説明は最小限にとどめ,因果推論における抽象的な考え方や複雑な手法を,具体的でかつ学術的に興味深い例を用いて,わかりやすく,しかし厳密さを損ねることなく説明している。
本書を通して読者は,ランダム化実験をどのようにデザインし,得られた結果をどのように解釈するのかを理解し,観察研究がランダム化実験とはどのように違うのか,また観察研究では避けられない「バイアス」を除去あるいは軽減する方法,そしてバイアスの大きさを評価するための手法について学ぶことができる。本書は,人間の健康や行動,そしてよりよい生活のための実証研究に関心を抱く人にとっての貴重な情報源となる。

〔原著〕Observation and Experiment: An Introduction to Causal Inference, Harvard University Press, 2017.

目次

第I部 ランダム化実験

第1章 ランダム化臨床試験
1.1 敗血症性ショックに対する緊急治療
1.2 因果関係に関する問題
1.3 ランダム化は共変量のバランスをとる
1.4 積極的治療はより有効か

第2章 構 造
2.1 母集団
2.2 共変量
2.3 治療の割付け
2.4 処置による因果効果
2.5 有限母集団と標本における平均
2.6 平均因果効果
2.7 振り返り

第3章 ランダム化実験における因果推論
3.1 処置効果の有無の評価
3.2 単一処置実験
3.3 帰無仮説の検定:小標本での例示
3.4 ProCESS試験における処置の比較
3.5 効果の大きさ
3.6 振り返り

第4章 非合理性とポリオ
4.1 認知科学と公衆衛生に関する実験
4.2 選好は非合理的となりうるか
4.3 Salkポリオワクチンのランダム化による評価

第II部 観察研究

第5章 観察研究と実験研究の間
5.1 実験研究と観察研究の区別
5.2 完全ランダム化実験からの一歩
5.3 泣く赤ん坊
5.4 処置の割付け確率が同じ層同士の併合
5.5 マッチングされたペア
5.6 傾向スコア
5.7 観測された共変量に基づく調整が十分である条件
5.8 振り返り

第6章 自然実験
6.1 自然実験の例
6.2 自然実験のいくつかの特徴
6.3 2010年チリ地震と心的外傷後ストレス
6.4 振り返り

第7章 理論の精緻化
7.1 「理論の精緻化」とは
7.2 親の職業は子供を危険にさらすか
7.3 理論の精緻化
7.4 胎児性アルコール症候群
7.5 エビデンス因子
7.6 振り返り

第8章 準実験の諸手法
8.1 準実験の諸手法の例
8.2 複数の対照群の設定
8.3 カウンターパート
8.4 対照的アウトカム
8.5 不連続デザイン
8.6 振り返り

第9章 バイアスに対する感度
9.1 感度分析とは
9.2 処置のランダム割付けからの逸脱の定量化
9.3 感度分析の例
9.4 種々の研究の分析
9.5 振り返り

第10章 デザイン感度
10.1 デザイン感度とは
10.2 不均質性と因果関係
10.3 処置効果が大きい部分集団
10.4 クラスターへの処置の割付けとバイアスに対する感度
10.5 振り返り

第11章 マッチングの技法
11.1 概念と問題
11.2 科学論文におけるマッチングに基づく比較の記述
11.3 マッチングおよび観察研究の妥当性の論拠
11.4 マッチングによる比較のための技法
11.5 振り返り

第12章 気質によるバイアス
12.1 観測されないジェネリックバイアスとは
12.2 ラッシュ行動
12.3 いくつかの例
12.4 理論的考察
12.5 分離
12.6 振り返り

第13章 インスツルメント
13.1 インスツルメントとは
13.2 ランダム化奨励実験
13.3 未熟児の周産期ケア
13.4 インスツルメントの強化
13.5 振り返り

第14章 結 論

参考文献
記号と専門用語
索  引