数の幾何学―ミンコフスキーに始まる格子の世界― 

書籍情報
ISBN978-4-320-11460-9
判型A5 
ページ数216ページ
発売日2021年10月14日
価格3,190円(税込)
数の幾何学 書影
数の幾何学

新刊

 数の幾何学は,ヘルマン・ミンコフスキーの研究に端を発する数論の一部門であり,与えられた領域が格子点を含むための条件を定めるなどといった問題を基本としている。それによって,ある種の難しい数論の問題を幾何学的文脈へ転換し,解答を得ることができる。素朴な印象とは裏腹に,幾何学や組合せ論にとどまらず,代数的整数論や数論幾何学などにも豊かな応用を持つ重要な理論である。
 本書では「数の幾何学」を容易に理解できるよう解説していく。まず,数論に関する問題への格子点によるアプローチを解説する。次に,「ミンコフスキーの基本定理」を導入し,ディオファントス近似への応用も解説する。さらに,ミンコフスキーのアプローチを拡張したハンス・フレデリック・ブリッヒフェルトの仕事も解説する。
 本書を通しての専門的過ぎない文体は読者を自然に数の幾何学の世界へと誘い,必要な予備知識もそれほど多くはない。新鮮な驚きと充実した内容を意欲的な読者に与えてくれる,価値ある書籍となろう。

[原著:The Geometry of Numbers, American Mathematical Society, 2000]

目次

第I部 格子点と数の理論

第1章 格子点と直線
1.1 基本格子
1.2 格子系における直線
1.3 傾きが有理数の直線
1.4 傾きが無理数の直線
1.5 格子点のない最大幅の道
1.6 格子点のない道上の長方形

第2章 格子点の数え上げ
2.1 最大整数関数[x]
2.2 ax + by = n を満たす正の整数の求め方
2.3 三角形の内側の格子点

第3章 格子点と多角形の面積
3.1 点と多角形
3.2 ピックの定理
3.3 長方形の格子点被覆定理

第4章 円内の格子点
4.1 格子点は何個あるか?
4.2 2平方数の和
4.3 2平方数の和として表せる数
4.4 2平方数の和による素数の表記
4.5 R(n) に対する公式


第II部 数の幾何学入門

第5章 ミンコフスキーの基本定理
5.1 ミンコフスキーの幾何学的アプローチ
5.2 ミンコフスキーのM 集合
5.3 ミンコフスキーの基本定理
5.4 [自由選択]n 次元におけるミンコフスキーの定理

第6章 ミンコフスキーの定理の応用
6.1 実数の近似
6.2 ミンコフスキーの第一定理
6.3 ミンコフスキーの第二定理
6.4 無理数の近似
6.5 ミンコフスキーの第三定理
6.6 同時ディオファントス近似

第7章 線形変換と整数格子
7.1 線形変換
7.2 一般的な格子
7.3 基本格子Λの性質
7.4 可視点

第8章 二次形式の幾何学的解釈
8.1 二次表現
8.2 最小の正の値に対する上界
8.3 改良された上界
8.4 [自由選択]3変数以上の二次形式の最小値の下界
8.5 有理数による近似
8.6 四つの平方数の和

第9章 数の幾何学における新しい法則
9.1 ブリッヒフェルトの定理
9.2 ブリッヒフェルトの定理の証明
9.3 ブリッヒフェルトの定理の一般化
9.4 ミンコフスキーの定理再び
9.5 ブリッヒフェルトの定理の応用

第10章 ミンコフスキーの定理(自由選択)
10.1 問題の略歴
10.2 ミンコフスキーの定理の証明
10.3 ミンコフスキーの定理の応用
10.4 一般的な定理を証明する

付録I ガウス整数
I.1 複素数
I.2 ガウス整数の素因数分解
I.3 計算の基本定理
I.4 ガウス整数の素因数分解の一意性
I.5 ガウス素数
I.6 ガウス素数についてのさらなる話題

付録II 凸体の最密充填
II.1 格子点の充填
II.2 R2 の円の最密充填
II.3 Rn の球の充填

付録III 簡単な人物紹介
ヘルマン・ミンコフスキー
ハンス・フレデリック・ブリッヒフェルト