インターネット総論

書籍情報
ISBN978-4-320-12039-6
判型A5 
ページ数296ページ
発行年月2002年01月
本体価格3,700円
インターネット総論 書影
インターネット総論

インターネットは,世界の人々との自由なコミュニケーションや,さまざまな情報へのアクセス,電子モールからのショッピングなどを可能にする新しい情報流通環境を形成した。その生い立ちは,1969年に米国で4つの大学や研究機関を結んだARPANETが始まりとされている。その後,ボランティア精神に富んだ学究的な文化の中で育ち,静かに世界に広まっていった。1990年代初期の商用サービスの開始を契機に,企業はもとより一般家庭にも急速に浸透し,もはやインターネットなくして社会経済活動が成り立たなくなった。
 これまでのインターネットは電話システムの基盤を用いて構築されてきたが,21世紀を迎え,インターネットサービスのための新たな基盤となるネイティブインターネットの構築に向けた取り組みが始まっている。そのキーワードはモバイル/ユビキタス/ブロードバンド/常時接続といわれており,わが国の得意技術を活かせる領域である。
 インターネットの特徴の1つは,技術とシステムのグローバル性である。一方,電話網はインターナショナル(国家間の相互接続)なシステムであり,グローバル性を目指した取り組みは行われてこなかった。また,放送は国家単位に構築されてきた。経済は,より効率的で自由度が高く,規模が大きなグローバル市場へと進化を続けている。情報通信システムとその産業は,インターネットの出現によりグローバルなものへと進化した。その源泉はグローバルな技術標準化機関であるIETFやW3Cなどが,技術標準と運用規則をリードしたことによる。これまでインターナショナルにとどまっていた無線システム基盤のグローバル化が,ネイティブインターネットと無線システム関連産業の飛躍の鍵を握っているといっても過言ではなかろう。
 ところで,インターネットに関する書籍が雨後の竹の子のごとく出版されてきたが,その多くはインターネットの利用方法や一部の技術分野を解説するもので,またインターネット全体にわたる解説書を指向したものであっても,知識の体系的な羅列にとどまり,必ずしも大学などの学生や若い技術者がインターネットの仕組みを深く理解し,自らの創意工夫によって新しいインターネットを切り拓いていく力を醸成しようとするものはではなかった。
 本書は,インターネットの仕組みを中心に,その生い立ちやサービス,セキュリティ,システム構築,インターネットビジネス,さらに法律面を含む社会活動へのインパクトなどについて,幅広く体系立って学ぶとともに,演習問題などを通して自ら考え創意工夫する力を養っていくことを目的としている。記述されている技術アイテムの掘り下げ方によって,情報・通信系の学部課程から修士課程,あるいは専門学校などの学生を対象とする教科書,インターネットと事業との関わり合いが強い企業での若手技術者の入門書,さらには1,200項目を超える豊富な索引から参考書としても活用することができよう。

目次

1 基本概念
1.1 インターネットの基本思想
A.世界に開かれたネットワーク
B.単純で透明なネットワーク
C.柔軟なネットワーク構造
D.絶え間ない技術革新

1.2 インターネットの仕組み
A.プロトコル体系

B.アドレス体系
C.情報転送の仕組み

1.3 インターネットの歴史と運営組織
A.インターネットの歴史
B.インターネットガバナンス
C.インターネット技術の開発と標準化
演習問題

2 インターネット層
2.1 インターネットプロトコル
A.インターネットプロトコル:IP
B.IPアドレスに基づいた処理
C.インターネット管理制御プロトコル:ICMP

2.2 経路制御機能
A.経路制御の概要
B.経路制御プロトコル

2.3 IP関連機能
A.ARP機能
B.アドレス発見機能
C.NAT機能
D.トンネリング機能
E.PPP機能
F.ネットワークDDI
演習問題

3 物理/データリンク層
3.1 物理/データリンク層の基礎技術
A.物理伝送媒体
B.伝送方式
C.同期方式
D.多重化方式
E.アクセス制御方式
F.データリンク形態
G.誤り訂正方式
H.フレーム伝送制御方式

3.2 有線系データリンク
A.データリンク終端装置
B.中継転送装置
C.LAN系データリンク
D.アクセス系データリンク
E.広域バックボーン系データリンク

3.3 無線系データリンク
A.無線LAN
B.無線アクセス:FWA
C.モバイル系データリンク
演習問題

4 トランスポート層
4.1 トランスポート層の役割
A.ソケットAPI
B.エンド‐エンドでのデータ通信

4.2 伝送制御プロトコル:TCP
A.TCPの基本動作
B.フロー制御
C.再送制御
D.TCP Persist Timer
E.Keep Alive Timer
F.パスMTU検索
G.TCP次世代技術

4.3 マルチメディア対応プロトコル
A.UDP
B.RTP
C.RSVP
演習問題

5 ディレクトリサービスと電子メール
5.1 ディレクトリサービス
A.ディレクトリサービスの槻念
B.DNSシステム
C.ディレクトリ応用サービス

5.2 電子メールシステム
A.電子メールシステムのメカニズム
B.電子メールのセキュリテイ

5.3 その他のコミュニケーションツール
A.BBS(Bulletin Board System)
B.ネットニュース
C.talk
D.IRC(Internet Relay Chat)
E.インターネット電話
F.インターネットファックス
G.動画通信
演習問題

6 World Wide Web
6.1 WWWの仕組み
A.WWWの生い立ち
B.WWWの仕組み
C.URL
D.Webブラウザの構成

6.2 マークアップ言語
A.マークアップ言語の生い立ちと発展
B.HTML言語
C.ⅩML言語とWebサービス

6.3 Webアプリケーション
A.Webアプリケーションを実現する各種ソフトウェア
B.WebアプリケーションとJava

7 セキュリティ
7.1 不正アクセスの手口
A.不正アクセス行為の手口
B.不正アクセス行為の実態とセキュリテイへの認識

7.2 セキュリティ防衛
A.セキュリテイ防衛の具体策
B.セキュリテイに関する国際標準化
C.不正アクセスに関わる法整備

7.3 セキュリティ技術
A.ファイアウォール技術
B.公開鍵基盤
演習問題

8 次世代インターネット技術
8.1 インターネットのインパクト要因
A.ネイティブインターネットへの進化
B.常時接続がもたらすもの
C.ブロードバンドがもたらすもの
D.フルディジタルメディアがもたらすもの
E.ユビキタスコンピューティング環境がもたらすもの
F.エンド‐エンドアーキテクチャモデルがもたらすもの

8.2 ネットワーク基盤技術
A.IPバージョン6技術
B.QoS制御技術
C.高速スイッチング技術とトラフィックエンジニアリング
D.マルチキャスト技術
E.モバイルIP技術
F.コンテンツ配信と権利管理

8.3 マルチメディアデータ圧縮技術
A.データ圧縮の原理
B.静止画フォーマット
C.動画フォーマット
D.音声/オーディオフォーマット
E.マルチメディア多重化/再生方式
演習問題

9 システム設定と運用管理
9.1 システム設定
A.想定システムの概要
B.IPアドレスの取得
C.ネットワークインタフェースの設定
D.経路制御の設定
E.DNSサーバの設定
F.メールサーバの設定
G.Web/FTPサーバの設定
H.セキュリテイ機能の設定
I.DHCPサーバの設定

9.2 ネットワーク管理システム
A.ネットワーク管理の役割
B.ネットワーク管理システムの構成

9.3 トラブルシュート
A.トラブルシュートのプロセス
B.診断ツール
演習問題

10 インターネットビジネス
10.1 ビジネスのインパクト要因
A.物理的距離の克服
B.時間的障壁の克服
C.訴求力
D.双方向性
E.グローバルスタンダード
F.巨大市場

10.2 B2C型 e-コマース
A.ライフサイクル
B.プランニング
C.Webサイトの構築
D.サイト運用とプロモーション
E.評価改善

10.3  B2B型 e-コマース
A.サプライチェーンマネージメント
B.XMLによる情報の共有化
C.システム構成
演習問題

11 サイバースペースの統治
11.1 インターネット文化とサイバースペース法学
A.インターネット文化
B.サイバースペース法学
C.ISPの契約による統治

11.2 インターネット利用上のルールとマナー
A.基本スタンス
B.電子メール
C.フォーラム,メーリングリスト,電子掲示板
D.ホームページ
E.オンラインショッピング

11.3 関連法規と事例研究
A.著作権法
B.事例研究
演習問題

演習問題のヒント

参考文献

索引