思考ツールとしての数学  

  • 川添 充・岡本 真彦 
書籍情報
ISBN
978-4-320-11030-4
判型 B5
ページ数 264ページ
発行年月 2012年10月
本体価格 2,200円
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思考ツールとしての数学 書影
思考ツールとしての数学

数学を思考ツールとして使いこなせれば,現実場面を切り開くための強力な武器になる。数学が苦手な人必携の,とびっきりの入門書!
 「数学の授業は,わけがわからないままに勝手に進んでいく」という経験は,多くの学生に共通するようだ。もちろん,教える側の数学の先生は,授業を受ける学生がわかるように,と思って教えているはずである。では,なぜ,わけがわからないまま進んでしまう,と多くの学生が感じてしまうのだろうか。それは,数学を教える側が見ている
世界と,数学を学ぶ側が見ている世界がまったく違っているのにもかかわらず,教える側は自分が見えている世界が,学ぶ側にも当然見えているだろうと考えて教えているということにある。言い換えると,数学ということばを話せる人が,数学ということばを話せない人に,数学ということばで話しているというのが,これまでの数学の授業だったといえるのではないだろうか。
 このような考え方に立つと,これまでの数学の授業やテキスト,参考書などの問題点が見えてくる。
 そこで本書では,数学の用語をできるだけ身近なことばに直して説明し,考え方や解き方も,数学が得意ではない人でもわかるような記述になるよう工夫した。読者として想定しているのは,高校で文系コースに所属していた方や理系コースではあったけれど数学が少し難しかったという方,あるいは,社会人として活躍しているのだけれども数学の必要性を感じて数学をもう一度学び直してみようという方である。高校の数学II・Bから数学III・C,そして大学で理系の学生が習う線形代数や微積分学の入門的な学習内容の中から,特に現実場面を思考するためのツールとして役立つ数学の内容を取り上げて解説している。
 本書の基本的な特徴を3つ示しておこう:
(1) 現実の問題を示して,その問題に隠れている数学的構造を探り当てることから始めている。
(2) 問題‐解説‐数学的なまとめ,の構成にしている。
(3) 数学の豊かなイメージをつくる練習問題を設定している。
 数学は,世界を語るためのことばである。この数学ということばを学ぶことこそ,思考ツールとしての数学を学ぶということであり,それによって,現実世界で起こる様々な現象を数学的にとらえて,思考することが可能になるのだといえる。複雑な現実の問題を,数学を使って思考してみることで,見えてくることは多い。
 このテキストによって,多くの人が数学ということばを話せるようになり,数学を思考ツールとして使いこなせるようになると期待している。

目次

第1章 文字と式,グラフ
1.1 文字を使う
1.2 グラフでみる
1.3 不等式で考える
1.4 連立1次不等式と線形計画法

第2章 数列
2.1 数列で考える
2.2 数列のことば
2.3 数列の和でとらえられる現象
2.4 漸化式を使って考える
2.5 数列の行き着く先は? ――極限を考える

第3章 ベクトルと行列
3.1 集計表の計算式について考える
3.2 ベクトルと行列のことばと計算
3.3 人間関係を行列でとらえる――社会ネットワーク分析

第4章 関数
4.1 関数で現象を表すモデルをつくる
4.2 数を使って現象をみる,考える
4.3 周期的に変化する現象を表す
4.4 関数モデルを使って現実の問題を解く

第5章 確率
5.1 確率でとらえられる社会的現象
5.2 確率のことば
5.3 条件付き確率とベイズ推定

第6章 推移行列と固有ベクトル
6.1 推移行列で未来を予測する
6.2 過去にさかのぼる推移行列
6.3 行列のことば――正方行列と逆行列
6.4 固有値・固有ベクトルで変化をとらえる
6.5 固有値・固有ベクトルのことば
6.6 固有ベクトルでつくる総合評価のものさし――主成分分析

第7章 微分
7.1 関数の傾きで現象をとらえる
7.2 微分=関数の傾き
7.3 微分のことば
7.4 微分で現象をとらえる

第8章 積分
8.1 グラフで囲まれた面積で現象をとらえる
8.2 面積=積分
8.3 微分がわかれば積分がわかる――微積分学の基本定理
8.4 積分のことばと基本的な関数の積分

第9章 多変数関数
9.1 多変数関数としてとらえられる現象
9.2 2変数関数のグラフ
9.3 1つの変数に着目した多変数関数の動き
9.4 偏微分のことば

付録A 計算ツールとしての関数電卓
付録B 応用計算ツールとしてのMathematica

参考文献

演習の解答

付表