化学の要点シリーズ

編:日本化学会

編集委員長:井上晴夫

編集委員:池田富樹・伊藤 攻・岩澤康裕・上村大輔・佐々木政子・高木克彦・西原 寛

 現在、我が国の大学教育は大きな節目を迎えている。近年の少子化傾向、大学進学率の上昇と連動して、各大学で学生の学力スペクトルが以前に比較して、大きく拡大していることが実感されている。これまでの「化学を専門とする学部学生」を対象にした大学教育の実態も大きく変貌しつつある。自主的な勉学を前提とし「背中を見せる」教育のみに依拠する時代は終焉しつつある。一方で、インターネット等の情報検索手段の普及により、比較的安易に学修すべき内容の一部を入手することが可能でありながらも、その実態は断片的、表層的な理解にとどまってしまい、本人の資質を十分に開花させるきっかけにはなりにくい事例が多くみられる。このような状況で、「適切な教科書」、適切な内容と適切な分量の「読み通せる教科書」が実は渇望されている。学修の志を立て、学問体系のひとつひとつを反芻しながら咀嚼し学術の基礎体力を形成する過程で、教科書の果たす役割はきわめて大きい。
 例えば、それまでは部分的に理解が困難であった概念なども適切な教科書に出会うことによって、目から鱗が落ちるがごとく、急速に全体像を把握することが可能になることが多い。化学教科の中にあるそのような、多くの「要点」を発見、理解することを目的とするのが、本シリーズである。大学教育の現状を踏まえて、「化学を将来専門とする学部学生」を対象に学部教育と大学院教育の連結を踏まえ、徹底的な基礎概念の修得を目指した新しい『化学の要点シリーズ』を刊行する。なお、ここで言う「要点」とは、化学の中で最も重要な概念を指すというよりも、上述のような学修する際の「要点」を意味している。

本シリーズの特徴を下記に示す。
1)科目ごとに、修得のポイントとなる重要な項目・概念などをわかりやすく記述する。
2)「要点」を網羅するのではなく、理解に焦点を当てた記述をする。
3)「内容は高く」、「表現はできるだけやさしく」をモットーとする。
4)高校で必ずしも数式の取り扱いが得意ではなかった学生にも、基本概念の修得が可能となるよう、数式をできるだけ使用せずに解説する。
5)理解を補う「専門用語、具体例、関連する最先端の研究事例」などをコラムで解説し、第一線の研究者群が執筆にあたる。
6)視覚的に理解しやすい図、イラストなどをなるべく多く挿入する。

本シリーズが、読者にとって有意義な教科書となることを期待している。

各巻:B6判、並製、平均100~200頁

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