リーマンの生きる数学 全4巻

編集:黒川信重

 大数学者リーマンの影響力の偉大さは、歿後150 年の現在、一層輝きを増して感じられる。リーマンは1826 年9 月17 日にドイツに生まれ、1866 年7 月20日にイタリア北部のマジョーレ湖畔にて39 歳という若さで生を終えた。リーマンが、その短い一生の間に、解析学・幾何学・数論という多方面にわたって不朽の画期的成果を挙げて、数学を一新させたことは、今更ながら驚きに堪えない。もちろん、その時間的制約から、リーマンにはやり残したことも多いはずであり、リーマン予想はその代表的な例であろう。さらに、リーマンは人見知りの激しい極端に控えめな性格の持ち主であり、5 歳年少の友人デデキントとの深い信頼関係によって何とか日々の生活を送っていた、という意外な面もある。ちなみに、デデキントはリーマン歿後、『リーマン全集』のまとめ役をつとめ、そこに最初の「リーマン伝」を書き下ろしている。

 リーマンの数学的遺産の大きさの明証としては、「リーマン積分」、「リーマン面」、「リーマン多様体」、「リーマン計量」、「リーマン予想」というように、リーマンの名前が現代数学の至る所で日常的に使われていることをあげることができる。まさに、リーマンなしには数学はできない、というのが現代数学者の共通認識である。付記すれば、現在に至るまで、後世の人々がリーマンの真意を汲み尽くせていない可能性も大である。リーマンが歿後150 年を機によみがえって現代数学を見たなら、どのような感想を抱くだろうか、興味深いところである。


 本シリーズは、リーマン歿後150 年の現在からリーマンの数学およびその後への影響を振り返るのが趣旨であり、
『リーマンと数論』
『リーマンと解析学』
『リーマンと幾何学』
『リーマンの数学と思想』
という4 巻からなる。執筆者には、これまでのリーマンの固定観念にはとらわれず、自由に書いて頂いている。リーマンの仕事、リーマンのやろうとしたこと、リーマンが夢見たこと、リーマンの影響、リーマン後の発展、リーマンの未来へのメッセージなど、重点の置き方も各様である。

 本シリーズによって、数学の悠久の流れにおけるリーマンの位置を認識し、リーマンの求めんとしたところを訪ねる人々が続くことを念願する。
 リーマン歿後150 年の2016 年に、ちょうど創立90 周年を迎える共立出版から本シリーズが刊行されることは喜びに堪えない。


《続刊テーマ》

3巻「リーマンと幾何学」勝田 篤著

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