ひろがるトポロジー

石川剛郎・大槻知忠・佐伯 修・三松佳彦 編

いろんなトポロジーのこれからをひらいていく。

トポロジーは、長さ、面積などの量には依らず、連続変形で変わらない図形の性質を調べる柔らかい幾何学である。18世紀中葉にレオンハルト・オイラーが多面体定理、すなわち空間内の凸多面体について頂点の数+面の数=辺の数+2が成り立つことを発見し、トポロジーを創始した。その歴史は、数学諸分野の中では古いものではなく、オイラー以後もすぐに目立った発展を遂げたわけではない。19世紀後半には(コ)ホモロジーや基本群の概念が少しずつ形を見せ始め、世紀の変わり目前後にアンリ・ポアンカレが記念碑的なAnalysis Situsを著した。その後のトポロジーの発展は目覚ましく、20世紀中盤には高次元多様体のトポロジーが夢のような展開をみせた。さらにその後もトポロジーは現代数学の各分野にとどまらず、周辺諸科学とも関連しあいながら有機的にひろがり、発展し続けている。興味を惹かれるテーマが実に数多く存在する。その中から、トポロジー自体に限らず現代数学の発展を理解する上で欠かせない素材や方法論、幾何的もしくは独自の魅力にあふれた理論などを厳選し、できるだけコンパクトな形でより多くの読者にトポロジーの魅力を提示する、というのが本シリーズの狙いである。

現代トポロジーの全体像をあまねく記録しその成果を不足なく解説しようとするならば本シリーズの数倍か数十倍の規模を要するであろう。本シリーズではむしろ、現代数学を理解し、未来への展望を見据えるための魅力を備えたテーマに絞り、現代のトポロジーの最前線で活躍する著者陣にこれらをいきいきとした切り口で解説して見せてもらうことを意図した。各巻は大部ではないが、それぞれのテーマへ、初学者にもわかりやすく興味深い導入から始まり、理論の核心へと迫る。いくつかの巻は学部や大学院初年次におけるセミナーのテキストとして好適であろう。より高度な文献や論文へと進む礎となることも期待される。

多くの読者に本シリーズから現代トポロジーの魅力を感じ取っていただけたら幸いである。


《続刊テーマ》

4次元多様体とファイバー構造(遠藤久顕・早野健太)

特異点と数え上げ幾何 ―ヒルベルト第15問題の最終解決に向けて―(大本 亨)

ポアンカレ予想(小島定吉)

2次元結び目の視覚化(佐藤 進)

実験低次元トポロジー ―Pythonによる実践―(山下 靖)

以下続刊

※書名などは予告なく変更される場合があります。

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