シリーズ・光が拓く生命科学 全8巻

編:日本光生物学協会

 生命は地球上に誕生して以来、母なる太陽の光により育まれてきた。生物は生命を維持していくためのエネルギー源として、適切な生育環境を獲得するための情報源として光を利用している。
 光生物学はこうした光と生命とのかかわりを理解することを目指した学問である。動物の視覚、植物の光合成などがその代表例であるが、生物と光とのかかわりはもっと多様である。動物は眼だけでなく脳や皮膚で光信号を感じ、太陽の光の周期や強度に適応している。植物は光信号により発芽、形態形成を調節している。生物の進化にも光が深くかかわっている。進化の頂点にたつヒトがフロンなどの新化学物質を作り出したことで地球のオゾン層が破壊され、生物に深刻な紫外線傷害を生じている。光は一方、がんや心の治療など多くの医学治療の有力な手段として注目されている。
 光学技術の最近の発展は目を見張るものがある。極微弱光の検出法の発展や、太陽光をはるかに越える高輝度光源の出現により、生命現象の秘密のベールが一枚一枚はがされようとしている。光生物学ではこのように「光によりひき起こされる生物現象」だけではなく「光による生命現象の解明」に新しい展開がみられようとしている。光生物学は「光が拓く生命科学」を先導する役割を担っている。光と生命のかかわり合いは、多くの学会(光医学、放射線影響学、眼研究、生化学、生物物理学、化学、光化学、動物学、比較生理生化学、植物学、植物生理学、光合成、農芸化学など)により進められてきた。わが国ではこれらの学会が協力して「光生物学」を振興する目的で日本光生物学協会を運営している。
 本シリーズは、日本光生物学協会の啓蒙活動の一環である。光生物学が新しい発展を迎えようとしている今、「光が拓く生命科学」の現状と将来の夢を、わが国の第一線研究者から皆様に伝えたい。
 本シリーズは、専門を選択する前の若い世代や一般の読者に理解出来るよう分かりやすく解説しているが、研究者にも十分読みごたえある内容を意図している。

分野で探す