情報がひらく新しい世界

編集:武井惠雄・大岩 元

 21世紀の入口に立つ今、情報技術(IT)がすべての人々に求められる時代が来た。インターネットの中で育ち、インターネットの上に「知」の在りかを探す人々が増えてきた。これからは、一歩進んで、ネットワーク・コミュニケーションの上に、豊かな「知と人の輪」を構築して行く時代が訪れようとしている。
 人間が社会から学びとり、社会にお返ししていくものが文化であるとするなら、情報とコミュニケーションの技術力(ICT)は、情報社会の生活文化を支える力そのものであり、ICTは情報社会において人が身につけるべき基礎的な能力の一つとなりつつある。
 これに対応して、わが国の教育も、大きな転換点を迎えようとしている。2003年には、高等学校に教科『情報』が新設され、本格的な情報教育が始まるし、小・中学校ではそれに先んじて、総合的学習の時間をはじめとして、情報の教育、教育の情報化が進む。これも社会の情報化の証であるが、今はまだ、学校にも教員にも、また教員を養成する大学にも、個人の力としての情報技術(IT/ICT)が蓄積されていない。このままでは、次世代の人材を育てるところとして機能しないかもしれない。このシリーズ「情報がひらく新しい世界」を企画したのは、このような理由からである。
 このシリーズでは、以下の点をめざして執筆者を選び、新しい姿勢で情報をあつかうこととした。執筆者の理解を得てそれが実現できたので、本シリーズの特徴ともなる。

1.「コンピュータ」と「ネットワーク」と「情報」と「情報社会」の四つについて、バランスよく学べること をめざす。
2.従来の生産技術・要素的な工業技術としての情報技術ではなく、情報社会に生きる個人の力としてのICT能力を養うことをめざす。
3.情報の発生から受容までの過程を自然に理解できるように考えた。従来の情報処理ではあつかわなかった人の認知にも触れた。
4.情報社会におけるコミュニケーションの重要さを、個人のレベルからあつかうと同時に、社会の側からも見る視点を持った。
5.に徹した。いつの日か学問となるであろう情報学の科学的・文化的・社会的な基礎をめざす姿勢でもある。
6.読者として、大学に学ぶ学生から情報技術に関心を寄せる市民を想定して平易さを心がけると同時に、高校の情報科教員を目指す人にも満足して貰えるようにはからった。このため、予備的な知識・学力は、高校卒業程度とし、特に数学などで特別な素養を求めないように留意した。


《続刊テーマ》

7.コンピュータサイエンス入門
武井惠雄・河村一樹・神村伸一 著

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