新しい解析学の流れ

編集委員:西田孝明・磯 祐介・木上 淳・宍倉光広

 「解析学」は現象の分析・解析に源を持つ数学の分野であり、古典力学を背景とした17世紀のニュートンによる微分・積分法の創始にも代表されるように、物理学と深い関係を持ちながら発展してきた数学である。さらに19世紀のコーシーらの研究をはじめ、解析学は極限などの「無限」を理論的に扱う数学の分野としても特徴づけられる。20世紀にはさまざまな抽象概念が導入され、解析学は深まりを見せる一方で、代数学や幾何学との結び付きを深める解析学の分野も成長し、さらに確率論も加わって多様な進歩を遂げている。
 他の学問との関わりでは、特に20世紀後半には物理学はもとより工学や化学・生物学・経済学・医学など、多様な分野に現れる種々の非線形現象の分析・解析・数理モデル化との関わりも深めてきた。さらに計算機の飛躍的な進歩により、それまでには扱うことのできなかった複雑な対象への取り組みも可能となっている。このような計算機を援用した新たな取り組みの中で、新しい時代の解析学が芽生える一方、解析学の研究で得られた成果が数値計算などを通して多くの応用分野を支えるに至っている。
 このような解析学を取り巻く状況変化の中で、21世紀における「解析学」の新しい流れを我が国から発信することが、このシリーズの目的である。これは過去の叡知の上に立って、夢のある将来の「解析学」像を描くことである。このため、このシリーズでは新たな知見の発信と共に先人の得た成果を「温故知新」として見直すことも並行して行い、さらには海外の最新の知見の紹介も行いたいと考えている。したがって本シリーズでは、新たな良書の書き下ろしはもちろんのこと、20世紀に出版された時代を越えた名著を復刊して後世に残し、さらには海外の最新の良書の翻訳を行う予定である。また、最先端の専門家向けの高度な内容の書物を出版する一方で、これからの解析学の発展を担う若い学生を導くためのテキストレベルの書物の出版も心掛けていく予定である。

《続刊テーマ》

○偏微分方程式

○確率微分方程式

○数理物理学

○複素力学系

○解析関数論

○非線形解析

○ファジィ推論

○数値解析

○数理ファイナンス

○可積分系

○代数解析

○分岐理論

分野で探す