シリーズ・バイオサイエンスの新世紀 全15巻

編:日本生化学会
日本生化学会バイオサイエンスの新世紀刊行委員会:石村 巽・関口清俊・中澤 淳・西田栄介・御子柴克彦・村松 喬(委員長)

 私たちは記念すべき時を生きている。細菌、酵母、線虫、ショウジョウバエと進んだ全遺伝子配列の解明はついにヒトに達した。そして、細胞の増殖、分化、死を制御する機構の概略が明らかになってきた。生物の形づくりという一見、神秘的な現象も分子レベルで語られるようになった。生体エネルギー、酸化ストレス、糖と脂質、生体防御といったそれぞれの前線でも飛躍的な進歩が遂げられた。あたかも20世紀から21世紀への変わり目、そして新しい千年紀の始まりである。
 バイオサイエンスの怒濤の勢いの展開はこれからますます加速されていくに違いない。新しい機能を持ったタンパク質の分子設計が可能となるであろう。脳の機能の解明、細胞から出発した臓器の構築という2つの大きな課題の達成も視野の中に入りはじめた。そして、がん、アルツハイマー病をはじめとする難病の治療にバイオサイエンスの成果が基本的に貢献することも期待されている。
 「バイオサイエンスの新世紀」シリーズはこの躍動するバイオサイエンスの現状を生化学、分子生物学を通して若い世代へ啓蒙することを主目的に企画された。生命科学の他分野の研究者との連帯の強化、「理科ばなれ」という言葉に象徴される現状に対して研究者の努力を示すという意図もある。本シリーズは網羅的な辞典ではない。エキスパートである著者が研究の流れ、未解決の問題にも触れ、研究の興奮を伝えるものとした。そして各著者の哲学がにじみ出、若者に語りかけるような本でありたいと願った。病気、身体の働き、社会との関連など広く興味をひく事柄 に触れ、内容を身近なものとすることも心がけた。シリーズの作成作業は2年前に始まった。企画、執筆、編集のどの段階も、厳しい国際競争を生き抜かれている第一線の研究者の貴重なお時間を著しく割いて頂くことになった。こうして生れた「バイオサイエンスの新世紀」がわが国のバイオサイエンスの進展に大きく寄与する道標となることを願っている。

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