シリーズ 先端ディスプレイ技術

編集委員:小林駿介・内池平樹・谷 千束

 ディスプレイは19世紀末のCRTの発明以来、20世紀におけるTV放送メディアやコンピュータメディアなどの登場・発展に伴って産業的にも極めて大きく進展し、現在5兆円を越える市場規模となっている。多くのディスプレイの中でCRTが相変わらずキングの座を保っているが、LCDがパソコンの登場以来パーソナル/モバイル市場を中心に急進展し、現在のパーソナル情報社会を創出してきた。すなわち、CRTはマスメディア時代の現代工業社会を、LCDはパーソナルメディアによる現代情報社会を構築してきた。そしていま、情報社会/市場は周知のようにマルチメディア時代へと大きく変革しつつあり、ディスプレイ市場も一層多様に一段と拡大しようとしている。
 一方、ディスプレイ技術は従来のCRTやLCDだけでなく、PDPをはじめとし有機ELなど新規な多くの技術/方式の芽が育って来て、新しく拡大するマルチメディア市場に華々しく進出しようとしている。言い換えれば、ディスプレイの世界は今、市場、技術ともに非常にホットな激変の可能性を秘めた状況にあり、まさにディスプレイ・ビッグバン、戦国時代の渦中にあると言えよう。
 本「シリーズ 先端ディスプレイ技術」は、このようなある意味で混沌としているビッグバンの渦中にあるディスプレイの多様な先端技術を、ディスプレイ初心者にもわかりやすく解説することを目的として企画された。シリーズ全9巻は、共通の基礎知識/技術から、各種ディスプレイ方式における詳細な技術内容、主要な応用市場に至るまでが体系的に構成され、それぞれの分野の権威者や第一線でご活躍中の方々に編集、執筆の労を取って頂いた。構成上の主な特長は、第1巻に開発・製造技術者にもユーザーサイドの方々にもぜひ理解して頂きたい視覚、評価関連のディスプレイの基礎を配したこと、フラットパネルディスプレイで格段に産業規模の大きいLCDについては現在主流の方式技術関連と新しい萌芽技術関連を独立した別巻として設けたこと、発光型ディスプレイについては共通にカソードルミネッセンスを動作原理とするディスプレイ群とそれ以外の発光型ディスプレイ群をやはり別巻として設けたこと、大画面ディスプレイ以外に新しいカテゴリーとして高臨場感ディスプレイを独立して設けたこと、画像出力としてディスプレイと関係の深いデジタルハードコピー(電子印刷)の巻も設けたこと、そして今後の重要な市場である情報メディアへの応用を最後の第9巻に設けたことなどである。
 本「シリーズ 先端ディスプレイ技術」が上記したようにディスプレイの全貌がつかみにくい大変革の時期に上梓されることは、ディスプレイ関係者、特に若いディスプレイ技術者や応用システム開発者にとって大変有意なことであろうと信じる。本シリーズが日本のディスプレイ技術、産業の一層の発展に幾ばくかでも寄与できることを期待している。

 


《続刊テーマ》
5.発光型ディスプレイ 2―PDP、LED、無機EL、有機EL―

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