特異点の数理 全4巻

編:福田拓生・泉屋周一・石川剛郎

◇特異点とは
 すべての現象は特異点の現れである。ものの輪郭、風景、空の雲、虹、すべてがそうである。定常状態、平衡状態、変分間題の解なども、あるパラメータ空間の写像の特異点と見なすことができる。とにかく他と際立ったものが特異点なのだから、どの分野でも、特異点は避けて通れない対象である。しかも、特異点に現象の本質が隠れていると考えられる。このように、特異点を調べることは、身近で重要な問題を認識する際にどうしても必要となる。それと同時に、特異点を研究することは、ものごとの本質をつきとめる糸口となるのである。

◇シリーズ「特異点の数理」の位置付け
 このシリーズでは、いろいろな分野と特異点のかかわりあいを取り上げて、わかりやすく解説している。特異点を調べる組織的理論を特異点論と呼ぶが、特異点は身近で重要な問題に現れるので、特異点論はさまざまな分野と決定的に結び付くことになる。そのような、さまざまな分野と特異点論とのかかわりあい方をこのシリーズの中で明らかにし、特異点を通して、数学のおもしろさを示すことを目的とする、従来にない観点からの企画であろう。

◇シリーズ「特異点の数理」の特長
 読者対象は、高校生、大学初年度の学生から、大学3・4年生、大学院生、教育者、研究者におよぶ。どの読者にも満足してもらえるように、基本的事項から最先端の研究まで、幅広い事項が盛り込まれている。しかし、本シリーズの基本理念として、大学3・4年生が十分理解できて、興味を持って読んでいただけることを意識した構成を行った。各巻は互いにより関連性の深い二つのテーマから成る2部構成としてあるが、序文と索引は読者の便を考慮して共通にした。また、それぞれの巻で、他の巻を引用して、読者の有機的理解をうながすよう配慮している。さらに、各巻Ⅰ部とⅡ部は好みのほうから読み始めることができるように書かれているのも大きな特長である。
 折しも、本シリーズ執筆の真っ最中であった西暦2000年は国際数学連合(IMU)の決めたWorld Mathematical Yearであった。そして、21世紀最初の年に当たって、本シリーズの刊行を機に、今後の数学全体の中で一つの主要な流れに特異点論が育っていくことを編集者一同、期待してやまない。

分野で探す