「ビッグバン宇宙論は超えられるか」,「不規則電子系の金属-絶縁体転移」,「プラズマによる粒子加速」の3項目につき,それぞれの現状を紹介,解説するとともに,今後の展望についても言及する。
現代物理最前線
- いよいよ20世紀科学文明から21世紀の科学文明に移る。20世紀の物理学を振り返れば,その進歩・発展は,想像を絶するものがある。原子・素粒子はもとより,クオークからブラックホール,宇宙のはてまで,物理学は解明してきた。そしていま,生命,脳新素材,複雑系の解明まで突き進んでいる。21世紀はどんな科学文明になるのか,考えれば,むしろ恐ろしくさえなってしまう。このような現状にあって,まず何よりも現代物理学の各分野を,十分知っておくことが要求される。わが国の物理学者,研究者,物理教育者は,他の先進国の人びとよりも,物理学の異なる分野にうといと言われる。自分の専門分野には,きわめて高い識見をもっているのに,ほんの少し専門をはずれてしまうと,知識もないし,興味ももたなくなるという傾向にあるとされる。
このような現状を少しでも改善しようとするものが,前シリーズ『物理学最前線』とか物理科学雑誌『パリティ』である。幸い,前シリーズ『物理学最前線』は好評を得て,31巻まで刊行することができた。
そこで今回,まったく新しいシリーズとして,『現代物理最前線』を世に送ることにした。前シリーズと比べて,今シリーズは現代物理の生々しい現状の最新情報を満載するものである。